論 考

またまた不愉快な新マンハッタン計画

筆者 司 高志(つかさ・たかし)

 トランプ大統領がまたまたブチかましてくれた。新マンハッタン計画だ。

 その前に、マンハッタン計画について述べる。知っている人には、なんとも不愉快になる計画である。

 話は第二次世界大戦にさかのぼる。ナチスは、ユダヤ人を迫害したが、多くのユダヤ人がアメリカに亡命している。その中にアインシュタインがいた。

 原爆や原子力発電の基礎理論は、アインシュタインの特殊相対性理論より導かれたものだ。そのアインシュタインのもとに、シラードらが、やってくる。シラードは、アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトに原爆開発を促す手紙を出すように勧める。結局アインシュタインは、この手紙に署名した。これがマンハッタン計画の端緒となった。

 アメリカは、科学的な開発責任者をオッペンハイマーとし、物理の教科書に名前が載るような学者を集めて開発に当たった。ニールス・ボーア、エンリコ・フェルミ、オットー・フリッシュなどは名前を聞いたことがあるだろう。リチャード・ファインマンなども核計算を手伝っている。当時はコンピュータがなかったので計算担当として、コンピュータの原理の提唱者となるジョン・フォン・ノイマンも加わっている。

 アメリカは、戦争を早く終わらせるという名目で、ソ連の参戦を促したり、原子爆弾を使用したりした。

 勝利が確実な戦況において、ソ連の参戦を促し、原子爆弾を使うとは、今から考えればなんとも腹立たしいのだが、現代においてこのようなプロジェクトの名前を使われても日本の反応は鈍い。トランプ大統領のネーミングは看過できないと筆者は思う。

 では、新マンハッタンプロジェクトの方に話を移そう。それは、AIの開発である。この開発について、報道では次のように報じられている。「連邦議会はマンハッタン計画と同等の事業を立ち上げ、人類をしのぐ汎用人工知能(AGI)の開発競争に勝つための資金を提供しなければならない」

 AIを開発することと、その目標が、「人類をしのぐ汎用人工知能」になっている。そしてこれをマンハッタン計画の手法で開発しようとしている。

 確かな情報かはわからないけれど、すでに100人程度のエンジニアを集めているらしい。当代一流の科学者を集めたマンハッタン計画の手法を理解しているということだ。

 着眼点や手法において、先を越されているし、マンハッタン計画の名称と手法を使ってAI開発するということに関しても、またまた腹が立ってくる。

 片や高市総理は、2月20日、衆参両院の本会議で、施政方針演説を行った。この中でAI開発は成長加速の投資先として何回も出てくるのだが、これにはどうも悪い予感しかしない。アメリカが100人のエンジニアを集めたのに対して、日本では、富士〇やNE〇にお金を渡して適当に作ってもらって、アメリカに大負けなんてことも起こりうる。もっと最悪なのは、電TUなどに丸投げし、パソ〇で派遣を集めて一丁上がり、なんてことも起こらないとは言えない。おいおい、だいじょうぶか?