くらす発見

事務所の片付け

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 ざっと40年間お世話になった事務所を閉鎖するための片付け。たった1室なのだが、見積もりによると4トントラック2台だという。なるほど作業の進捗を見ていると実にピッタリの計算で、驚いた。

 作業に来られたのは5人、とくにリーダーの采配と動きに無駄がなく、しかも、重たい荷物を抱えながら、客に対する笑顔が絶えない。作業が早い。

 あれよ、あれよのうちに、家具類の撤去が終わって、見積もり外の廃棄物に取り掛かった。

 これはまったくの勘なのだろうとみていたが、しばらくすると荷台のスペースがほぼ終わりましたといわれる。リーダーは、一度も室内を離れていない。車内をのぞくと、たしかに、実に整然と積み込まれているので、驚いた。

 作業に着手して1時間半ほど、無駄なく、休みなく、終わった。

 後で考えてみると、まったく、当方感傷らしきものなく、作業の速度とリズムに見とれていた。

 作業者が帰られて、室内には未整理のものが残る。ぽつぽつ片付けよう。翌日作業に着手したが、品物の1つひとつになにやかや湧いてくるものがあり、前日のような調子にはならない。

 プロとアマの当然の違いを感じつつ、足手まといのセンチメンタリズムを引き起こさせないのもプロの技術だと感じ入った。

 それにしても、えいやっと片付かないので一苦労だ。