論 考

自民党の悪質・低質さ

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 岸田氏が内閣「生き残り」をかけて右往左往するのはわからないではない。というか、彼の念頭にあるのはそれだけであろう。

 内閣が泥舟だとか、安倍派切りの騒動とかは岸田氏にとっては最大関心だとしても、本当の問題はそれではない。

 「国民の信頼回復」なんて言葉を軽々しく語るところに、岸田氏が問題の深刻さをわかっていないことが示されている。

 すでに、国民の批判は自民党全体に向いている。国民各位が、長期にわたって、生活苦に喘いでいるのに、自民党諸君はパーティ券にうつつを抜かしているわけで、自民党ファンといえども非常に気分がわるいだろう。

 自民党内部から、誰のおかげで首相になったのかという声が出ているが、安倍派の恨み節だけではなく、国民がそう思っている。まあ、トカゲのしっぽ切りにしては大きすぎる。

 問われているのは安倍派だけではない、自民党の体質そのものである。だから、岸田内閣は来秋までもたないとか、静かに終わらせるというような声は、岸田内閣に対する嫌味ではなく、少なくとも事態の切実さを理解している。

 事態とは、議員たちの汚職の連環の大きさである。システム的に政治とカネ問題の裏をかこうとしたのであって、確信犯的悪質。同情の余地はない。

 数はいるが、自民党はすべてに政権担当資格がない。