筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
イスラエル国連大使が安保理事会演説(10/30)で、黄色い星のバッジを着用した。黄色い星はナチスのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の象徴である。
ハマスがおこなった大殺戮について沈黙を守っている国々は、ナチスと同じホロコーストをおこなっているのと同じだと批判した。
これに対して直ちにイスラエルのホロコースト記念館の館長が厳しく反論を加えた。黄色い星はユダヤ人が無力であった当時の象徴であって、現在の実力を備えたイスラエルに対する侮辱だという。
派手な演出を試みたのだが身内から反論が出たのは大使も誤算だろう。
たしかに今回仕掛けたのはハマスだが、ホロコーストにたとえるなら、常識的にはそれをやっているのはイスラエルである。
ネタニヤフはハマスを根絶やしする意欲を隠さないが、すでに無差別にパレスチナの人々を殺傷しており、ライフラインを断ったり、追い立てたりしている状態のほうがはるかにえげつない。
三文芝居で世界の世論を引き付けようとしても無理だ。むしろ、かつてホロコーストの憂き目にあったイスラエル人が、他者に対してホロコーストを推進していることを恥ずべきであろう。