論 考

ワーク・ライフ・バランス憲章10年

 かの悪名高き! ワーク・ライフ・バランス憲章が制定されたのは、10年前の2007年12月であった。

 けしからん最大の理由は、働く人々が仕事中毒で自分の生活を顧みないというような暗黙の前提があるからだ。長時間労働が労働者個人の責任だというのである。

 しかも、当時の政府系機関の調査に、仕事と生活の両立がますます困難になっていくという適切な分析をしたものもあった。

 会社における労働者個人の弱い立場を考えれば、それを仕事中毒呼ばわりするなど、いささかの思いやりも感じられない。

 まさに封建時代の雇用関係に逆戻りしているとしか考えられない。憲章10年後のいま、事態はますます悪化して好転の兆しがない。

 経済界リーダーが極めて近視眼的、視野狭窄であることを、わたしは心から憂う。働く人々の元気がなければ日本の未来は真っ暗闇じゃないか!