論 考

鎖国体質・島国根性

 政府・与党が入管難民法改正案の採決を急ぐ理由は明確だ。

 そもそも日本に市民権をえて居住する外国人を増やしたくない。その考え方の根源は江戸時代の鎖国に辿り着く。国際的田舎者の日本人は、風貌、言語、習慣が異なる外国人が増えることは厄介を抱え込むと思う。

 入管難民法は、水際で外国人の流入を阻止する防波堤だと考える。根本から問題の認識が違う。

 いわゆる技能訓練生のとんでもない制度が改善されないのも、はっきりしている。安く仕事をする労働力はほしいが、日本人と一緒に長く暮らしてほしくないわけだ。

 岸田氏は口を開けば、日本は民主主義の価値観を推進すると発言するが、本当のところ、自民党の諸君中心に民主主義のなんたるかが分かっていない。いや、本音では民主主義が嫌いなのである。

 民主主義とは、国家権力に介入・制限されずに、人々が世界中を往来し自由に居住できる思想である。

 国という障壁を構えて入国者を制限する発想自体が、反民主主義である。

 1人の審査員に難民審査が集中したとか、酔っ払い医師が入管で滞留する人を診察したとか、いろいろな問題が露見しているが、根本は鎖国体質、島国根性であって、とうてい民主主義国とはいえない。

 ジャーナリズムにも、もっとズバリ切り込んでもらいたい。