論 考

能天気ではなかろうか

 昨年4月の英国首相ジョンソン(当時)以降、トルドー(カナダ)、マクロン(仏)、ショルツ(独)、ドラギ(伊 当時)、スナク(英)、バイデン(米)、メローニ(伊)と各国首脳の「キーウ詣で」が続き、岸田氏も本望を達した。

 いままでのところ、各国首脳とゼレンスキー大統領との会談は、危険を冒したなかでのイベントではあるが、ウクライナ戦争を決着するために役立ったという評価はない。もちろん、首脳のみなさんは、それぞれ国内的には周辺を固めるために有益だったろうが。

 アメリカでは大統領選挙へ向けて、さまざまな動きが始まった。目立つのは共和党が、いままでのようなウクライナ援助を許容するかであるが、有力候補とされるトランプ、デサンテス両氏は、直截に反対している。つまりプーチンが大統領選に多大の関心を寄せているだろうという観測にもなる。

 岸田氏はG7議長国として悲壮な気持ちを抱えてキーウ詣でしたが、アメリカに限らず各国国内事情は、日本のように単純ではない。

 報道は、岸田氏にG7議長国として国際秩序の回復に尽力せよという調子である。あまりにも雑駁な見解だ。ウクライナ戦争にも慣れて、どうすればこのバカな仕業を止めさせられるのかという問いかけが出てこないみたいである。

 それだけではない、ますます世界は分割へ向かって走っている。本当にこんな調子でよろしいのだろうか?