論 考

フレネミーから友人へ

 尹大統領が来日して、ひさびさ日韓首脳会談が開かれ、日韓関係再構築の機運が高まりつつある。

 外電は、フレネミー(友だちで敵)の日韓が、オムライス外交で新しい関係を迎えると報ずる。

 尹氏の決断は、バイデン氏に大歓迎の弁「画期的」と言わしめ、米国に国賓として招かれる。広島サミットへも出席することになろう。

 外交成果を掲げての尹大統領の決断だ。

 1964年、パクチョンヒ(朴正煕)大統領が米国のベトナム戦争を支持して、ベトナムへ大量の兵士を送り込み、見返りに米国・日本からの経済協力を足場にして韓国経済を大躍進させた。漢江の奇跡といわれる。

 もちろん日韓関係が好転するのは上等だが、韓国の保守外交はどうも軍事問題が強く影を落とす。

 こんども極論すれば、南北に事あるときには自衛隊を引き込むという長期的視点が説得材料の1つだろう。

 韓国内では徴用工問題の決断について、賛成35%、反対59%で圧倒的大差がある。尹氏にすれば岸田氏に貸しをつくったことになるが、日本側が下手くそな対応をすれば尹政権の足元が危ない。

 安全保障問題も、日米韓の軍事的連携を強化するというだけで、北朝鮮に対する格別の算段があるわけでもない。軍事的強化というのは、問題解決に近づいたのではなくて、遠のくのだということをつねに意識しておかねばなるまい。