論 考

汚い戦争

 きれいな戦争なんてものはない。すべて戦争は汚いものだが、それでも汚い戦争と言いたくなる報道が重なる。

 バフムートの戦闘はすでに数か月。NATOの諜報によると、ロシアは局面転換を狙っているが、ロシア兵とウクライナ兵の死亡は5対1で、圧倒的にロシアが多いという。

 ウクライナは、徹底的にロシアの兵力を減退・消耗させる作戦で、戦略的には成功しつつあるともいう。

 ロシアは弾薬不足で、予備役が1869年に開発された小型歩兵シャベルだけで前線へ出されたという話もある。シャベル塹壕を掘るためだが、これで戦闘もやれというらしい。

 兵士は人間であるが、こんな話には人間にたいする尊厳のカケラもない。

 戦争を始めた人間がのうのうとして、他者に死を命ずる。戦争が汚いことの核心がこれだ。

 世界中の人々が戦争の汚さに麻痺することを恐れる。