論 考

官僚主義の一側面

 共産党の1党員が委員長公選制を求めたところ党を除名された。各新聞社説の論調は、組織の論理に偏重すると組織体質が閉鎖的になる。いまどき代表公選制を採用していない共産党は古いというものだ。

 それらの指摘はその通りである。

 いわば、共産党は組織政党が建前だから、組織決定は個人に優先する。そこで有能な党員たることは、すべてを組織第一に考えて、自身は組織官僚に徹することである。官僚組織に公選制などは似合わないということだろう。

 ところで、会社組織、組合組織などにおいても、メンバーの自由闊達な論議がきわめて少なくなった。組織というものは、どうしても縦社会の上意下達になりやすい。

 共産党委員長は長く変わらないが、それ以上に日本社会の至る所で見えざる官僚主義が主人公になっているのが心配である。

 組織活力とは、個人活力の総和である。元気な個人が少なくなったのではないか。たとえば賃上げを、政財界と連合がやりましょうといえばできると短絡する考え方もきわめて官僚主義そのものである。