論 考

米国軍事産業の高笑い

 今回の防衛費GDP2%の中身で目立つのは、米国FMS(有償軍事援助)の武器購入である。FMSは非常にありがたいもので、容易に米国の許可が出ない。

 武器として優秀、超高性能、したがって軍事機密性が高いから、右から左へ販売しないのであって、格別の思し召しで、有償により援助してあげるというわけである。

 しかし高額の武器を作って、自国防衛だけにしておくのでは採算が合わない。気心の知れた同盟国に売る次第だ。恩も押しつけて販売する。

 自分の商品を高く売りたいのは商売人の常であるが、FMSは、まさに産軍複合体の米国らしい商品販売方式で、いささかどころか、おおいに鼻につく。

 こういうところを注目すると、アメリカという国は、戦争がない世界を本気で求めているのかどうか、とても怪しいと思いたくなる。

 アイゼンハワーが、巨大化した産軍複合体の危険性についてスピーチしてから61年が過ぎた。アメリカの軍事産業の高笑いが聞こえてくるようで、まことに不愉快千万である。