論 考

場当たり主義の極み、恐るべし

 1月6日のアメリカ議会襲撃事件について、超党派の下院特別委員会が12月22日に最終報告書を提出した。全文845頁、1年間かけて、インタビュー1,000回、膨大なメールも調査した。

 結論のポイントは、襲撃事件の責任はトランプ氏にあり。偽の選挙人名簿を拠出しようとした証拠も掴んだ。特別委員会はトランプ氏を4つの罪状で疎通するように司法省に対して勧告した。さらに、トランプ氏が公職に再任することを禁止するように勧告した。

 米国民主主義がとんでもない事態を招いているのは周知であるが、超党派の下院特別委員会がみっちり事実の検証をしたことは、わが国のちゃらんぽらんな政治と比較するまでもなく、たいしたものだ。

 本日新聞各紙(朝日・読売・毎日)は、2023年度予算についての社説が並んだ。朝日・毎日は、とりわけ防衛費の膨張が精査を欠く大盤振る舞いになっていることを批判している。然り。

 読売は、防衛費の増額を支持しつつも危機感なく歳出を組み立てていることに危惧を表明した。たとえば、2019年度から21年度に、コロナ対策で94兆円積み上げたが、18兆円も残っている。

 今回の防衛費は、かりに予算がこのまま成立したとしても、米国から購入する武器費用を除けば、自衛隊が使いこなせないだろう。サイバー部隊2万人など、逆立ちしても不可能だ。研究開発費も3.1倍に積み上げたが、おカネを出せば研究開発が急速展開するわけでもない。これまた使い残すだろう。

 PDCでいえば、Pの段階から乱暴なことをやっているわけだ。しかも、わが政治においては、検証をまったくやらない。安倍政治も酷いものだったが、岸田采配はそれに拍車を掛けるがごとしだ。

 日本はホラー政治が躍動している。恐るべし。