論 考

ブルックリンの新風

 とかく分裂気味といわれる米国民主党の下院院内総務(議会多数派ならば下院議長)に、ハキーム・ジェフリーズ氏(52歳)が満場一致で就任した。

 ニューヨーク市ブルックリン地区に生まれ育った黒人である。同地区は、黒人やプエルトルコ人が多く住む。いわゆる雑多・多様な人口構成である。

 長く下院議長を務めたペロシ氏(82歳)からのバトンタッチだから一挙に30歳も若返った。

 とくに興味を引くのは、ジェフリーズ氏のコミュニケーション能力が抜群で、民主党議員団を結束させ、2年後の議員選挙で過半数奪還を期待されている。

 忍耐強く、不屈で、勉強熱心という評判が高い。ご祝儀相場もあろうが、いままで見た報道にはブレがない。早くから民主党の期待の星であったそうだ。

 クリントン時代からブレが大きくなった民主党のタガが締められるか。他国の話だが、興味深い。

 わが国の野党は、いまはまさに「出番」が来ている。しかし、どうも雄図に向かって前進する気風が出ない。こんな時期に自民党との連合政権参加がうわさされるようでは、まったく締まりがない。

 このような人材を重職に就ける米国民主党は捨てたものではなかろう。こういう面は、おおいに見習うべきだ。