論 考

岸田さん、墓穴は1つでよろしいのです

 筆者が付き合った自民党議員から愉快ならざる気持ちにさせられたのは、相手によって話を変えることだ。

 もちろん、相手の関心に応えて表現方法、比喩などに工夫を凝らすのは当然である。ただし、ものごとの本質、たとえば民主主義をどう考えるかについては、自分の存念を、相手によって使い分けるのでなく語ってもらいたい。

 たとえば、筆者や仲間に対する講演で、某議員は民主主義を礼賛しておいて、別の機会にはリベラルなんて左翼でとんでもない輩だなどとトンチンカンをやられると、実害はないけれども、人格を疑う。

 ただいま、話にならないと揶揄されている葉梨議員も、頭は良さそうだし、ものごとの理屈がわからない人ではないようだ。

 ところが、内輪の会合となると埒外のスピーチをやる。

 自民党議員は、人付き合い第一主義で、サービス精神旺盛である。おそらく埒外発言の動機は、その2つだろう。

 ただし、これは、自分の仲間も納得するだろうと考えての発言だから、これを職責上(法務大臣だけではなく、議員の資質としても)注意ごときでお終いとするのは、自民党にとっても非常に危ない。自民党議員が一蓮托生になる。

 だから、自民党内部でも、「怪しからん」発言が出ているのは妥当だ。またまた、岸田氏はもう1つ墓穴を増やした次第である。