論 考

英中トップ人事のコントラスト

 かつての大英帝国では、「誰が首相になんかなりたいのか」というコラムが登場する。経済は大変でどんどん貧しくなる。公共サービス財源は目減りする。交通機関などインフラは老朽化で問題山積。ウクライナ戦争のバックアップも大変である。

 保守党は内紛状態で、誰が党首になっても統治不能だという嘆きが出る。目下は、スナク氏が党首選レースのダントツだが、詰め腹切らされたジョンソン氏が虎視眈々再選を狙っている。万一、ジョンソン復活となれば悪夢が現実化するという保守党議員も多い。

 大中国は、習氏が3選を決めた。西側諸国はいずれも権力集中の危険性を主張するが、中国内から見れば、アメリカはじめ中国包囲網が形成されるなかで、習氏の3選はまったく違和感がない。むしろ、だから習氏なのだと確信する人は少なくないだろう。

 コロナのロックダウンで経済停滞というが、経済の馬力まで失ったわけではない。研究開発分野には、海外からたくさんの人材が流れ込んでいる。

 イギリスと中国の人事が映す典型的な違いからも考えるべき視点はたくさんある。日本的論調のワンパターンには違和感が大きい。