論 考

船頭がいない!

 イギリスのトラス首相が、決め球として打ち出した予算計画が、財政無視で、英国国債利回りが高騰して大騒動になった。加えてインフレは10%超、国民生活をどうするのかという批判に対して、目下打つ手なしの観。

 すでにトラス首相は役立たずのお飾りで辞任は時間の問題だと言われている。保守党は2019年以来、首相を3人たらい回ししてきた。日本のように解散を政局に使わさない制度である。

 しかし、トラス氏の辞任になれば、総選挙で民意を問わざるを得ないという見方だ。過去を辿れば、EU離脱からイギリス政治は狂ってきた。しかし、労働党も民意をしっかり掌握しているとはいえない。

 コロナとウクライナ騒動で人々の関心が浮ついていたが、そろそろポピュリズムと決別しなければならない。

 イギリスと比較して、わが国の政治が上等とはとても言えない。極論すれば、もっと低次元で議会が右往左往している。岸田氏のリーダーシップの無力はなんとも評価のしようがない。

 実のところ、他国のうわさをしている場合ではない。わが政治家諸氏は、国政の深刻さについて認識しているのだろうか。船頭多くして船山に登るというが、船頭がいない。なにをかいわんや。