論 考

主張点がボケている

 本日の読売社説は、「プーチン演説 『住民投票』で愚行を重ねるな」とタイトルをつけている。そのなかで、次の文章に引っかかった。

 ――米欧日の措置は確実に成果を上げている。核戦争に陥るリスクを避けながら、(米欧日は)結束を保ち、ウクライナの支援と対露制裁を継続する必要がある――

 文章としては形になっているが、中身がよろしくない。いわく、「核戦争に陥るリスクを避けながら」がそれである。

 対露経済制裁が武器支援に劣らず成果を上げているという理解だろうが、制裁も武器支援も、いずれもがプーチン・ロシアを追い込んでいる。

 核戦争のリスクは、プーチンが追い込まれた場合に現実的危険として現れると考えられるから、このままでは核戦争のリスクは高まる。いったい、どうして核戦争のリスクを避けるのか。

 まともな文章としては、「対露制裁、武器支援は確実に成果を上げているが、核戦争のリスクを考えると、それだけではよろしくない」という意味にするべきである。

 プーチンが追い込まれているとの分析が正しいのであれば、なおさらだ。大事なところを外した論説では役に立たない。戦争長期化で、論説子もマンネリ化したのではないか。