論 考

世界のリーダーの本気度

 国連総会のグテレス事務局長演説は、いまの世界を概括した内容で傾聴に値する。問題点として物価高騰・地球温暖化・武力紛争(あえて戦争といわなかったか)を上げた。その行方は、不平等悪化の加速化と相互信頼か崩れることだ。

 このところ、20世紀初頭の第一次世界大戦に関する文献を読んでいるが、現在と当時の社会的気風が共通しているように思う。1つは大国の利害関係、当時はドイツの台頭を、先行して繁栄した各国が戦略的に抑え込もうとした。もう1つは、各国にナショナリズムの勢いが増した。

 その以前の戦争は普仏戦争であったが、40年余過ぎており、戦争に対する嫌悪感や罪悪感といった反省的気運がきわめて薄らいでいたようだ。

 もちろん当時は各国とも帝国主義である。軍拡競争が進んでおり、社会的閉塞感、不平等格差も進んでいた。

 グテレス氏の指摘は歴史的危機感をもった内容である。今回の国連総会での各国首脳の演説は、いかに中身の濃いものか、おおいに注目する。