論 考

軽挙妄動

 外交の原則はお互いの内政に干渉しないことだ。それをやれば喧嘩外交である。ペロシ氏訪台は、いまのところ中国の厳しい軍事演習という対抗策だが、そうでなくても米中関係は根本的対立にあり、事態悪化をまた進めた。

 バイデン氏や軍はペロシ訪台に賛成ではなかったらしいが、それは米国政府の力量低下を示したことにもなる。

 ポンチ絵的にみれば、大国同士の外交が、深謀遠慮なく、たかが! メンツによって行動する結果、最悪の場合は軍事衝突に至るという危惧である。

 ペロシ氏が熱烈な民主主義者だとしても、個人と副大統領に次ぐ要人の立場の違いは弁えるべきだし、米国が超大国として他国を沈黙させる時代ではない。超大国の民主主義者が、しかるべき民主主義者であるか。おおいに疑問だ。

 中国はバカではないから、軍事演習で終えるだろうが、しかし、少し考えてほしい。プーチンが、「まさか」の軍事侵略をやった。米国はその教訓を、戦争が決着する前に早々忘れたのか。

 この分では、万一、不測の事態が台湾に発生した場合、米国が果たして台湾を守るだろうか。おおいに疑問だ。ロシアとは、大戦争の危惧ありとして参戦しない。台湾も、当然同じ理屈だろう。

 82歳のペロシ氏のメモリアル作りの訪台は、いかにも米国という大国が軽いことを、また、1つ示した。