みんなのコラム

私は——私だ!

POOH

武蔵美通信の「古典技法」を学ぶスクーリングが終了した。果たして私はレンブラントになれたのか——

問題は、今なぜ古典技法を学ぶのか?

フレスコ画・テンペラ画、そして油絵の絵具の登場など、「古典技法」といってもその地域の気候風土や歴史を背景に様々な変遷がある。

今回は油絵の絵具が発明されたころの技法について学んだ。しかし、厳密にはその時代に使用されていたキャンバスの布地や顔料、オイルが手元にあるわけではない。

また、西洋古典絵画、(とくにレンブラントの)「写実性」は光の捉え方に特徴があるが、電気がない。明かりは太陽と月、松明や暖炉に燃える火、あるいは蝋燭である。

だからものの見え方が(いまとは)ずいぶん違ったはずである。要するに今回は疑似体験である。

古典技法を学ぶのは、それを鵜呑みにして真似るのではない。技法を研究し色々試しながら「自分の表現技法」を会得しなさいということである。

不覚にも前回のコラムで「私はレンブラントになれるだろうか?」と書いたが、その必要は全くない。自分は自分なのである。