日々道楽

ウクライナ戦争に必要な政治戦略

 わが新聞社説は、ウクライナ戦争について、おおむね「対ロ結束を維持するべき」という調子である。それ自体に異論はないが、いったい、これからどうするべきか。それを考えずに、ひたすら結束を強調するのは中身空疎である。

 CNNが29日付で、米ホワイトハウス当局者の動きを伝えた。いわく、ウクライナが侵略されて失った領土すべてを奪還できるかどうか。(できないとすれば)ウクライナの勝利の定義を変更すべきか否かについて、内部協議をしているらしい。

 バイデン氏は、ウクライナ支援の目的を「自由で独立したウクライナを守る」と語っている。ジョンソン氏のように「ウクライナは勝たねばならない」という表現ではない。

 かつてベトナム戦争で、当時の米国大統領ジョンソン氏は、ベトナム戦争の目的を、「ベトコンが絶対に勝てないことを思い知らせる」と定義して、戦争拡大策に走ったが、絶対に勝てないことを思い知ったのはアメリカだった。

 戦争が始まると、かりに明確な戦争目的=定義を規定していても、想定通りには運ばない。戦争自体が戦争を拡大する傾向が強い。プーチンの短期決戦の目論見が外れたが、ロシアは態勢を立て直して執拗に攻撃をしている。

 ゼレンスキー氏の要請に応えて、米国は多連装ロケットシステムなど高性能兵器を供与しているが、同システムをゼレンスキー氏が48基要請したのに対して供与を確約したのは8基だ。兵器を供与しても、兵士の訓練が追い付かない。

 ホワイトハウスは、ウクライナの反転攻勢へ期待をかけつつも、果たして、ウクライナの兵力が持つか危惧している。

 これは、軍事戦略である。バイデン氏はじめ各国の政治家が問われているのは、この戦争に対する政治戦略と、出口戦略、そして、大きく毀損した世界秩序をどう再建していくかにある。足並み揃えているだけでは意味がない。