論 考

物価高は経済無策のツケだ

 アメリカFRBが、インフレファイター戦略をぶれずに推進している。中央銀行の当然の任務だが、たとえば黒田日銀のお手上げ事情を見ていると、違いが際立つ。

 金融緩和で株が上がっても、実体経済と無関係だから、経済は少しも好転しない。日本人の生活事情をみると、食料・光熱費は5%上がった。全体では2%というが、人々の生活実感は10%程度だろう。

 しかも雇用不安定だ。非正規社員が全体の40%。「物価上昇⇒消費冷却加速⇒企業収益減⇒人件費減少」のサイクルにはまっている。

 プーチンけしからんと呪文のごとくに唱えても、人々の苦痛がやわらぐわけがない。

 世界経済は、1980年代にスーザン・ストレンジ(1923~1998)が、「金融カジノの元締めが大銀行と大ブローカー」であると痛烈批判して以来、改まるどころかますます経済をゆがめてきた。

 その投資家も、怪しい雲行きで、株式を買い増す気配が失せてきた。投げ売りの流れが恐いから目下は模様眺めだが、すでに心理的には「逃げ遅れる恐怖」にあるという見方が強くなってきた。

 岸田氏は「有事の価格高騰」論を語っているが、評論家している場合かというのが、人々の心理状態だ。

 日本経済はアベノミクスなる妄想で、1990年代前半から適応力を欠いた日本経済をさらに破壊した。そこへ岸田氏は能天気にも軍拡路線を取るという。なにやら不気味な入道雲が立ち上がってきたみたいだ。

 選挙期間はまだ先が長い。