論 考

マリウポリの攻防

 マリウポリは、ウクライナの港湾都市の1つである。

 親ロシア派が勢力を維持するドンバス地域(ルハンスク州、ドネツク州)と、2014年にロシアが併合したクリミア半島の中間にあるマリウポリを制圧すればドンバス地域とクリミア半島をつなぐことができる。

 マリウポリは、ウクライナ軍の精鋭アゾフ大隊2万人が守備しており、開戦当時からロシアにとって難攻の都市とされていた。

 3月16日、マリウポリの劇場が爆撃されて、たくさんの市民が亡くなったと報道された。21日には、マリウポリは廃塵に帰したとの報道があった。

 アゾフ製鉄所の地下は要塞化してあり、なかなか陥落しなかった。

 4月20日に、アゾフ大隊の司令官が負傷している兵士が多く、救出してほしいと声明した。5月7日には、残っていた民間人が全員退避したが、停戦には至らず、5月8日には、司令官が不満を漏らしているとの報道もあった。

 5月17日、アゾフ製鉄所からウクライナ兵265人が投降してようやく停戦したようだ。重症者はロシアの病院へ運ばれた。

 もちろん、ロシアが制圧したといっても、両軍ともに死力を尽くした戦闘であったと思われる。

 これが、全体の停戦への機運になるか。期待する。