論 考

アメリカを支持しない国は多い

 対ロシア制裁を支持しない国が少なくない。人口ベースでは、ざっと世界の1/2という勘定になる。

 もちろん、ロシアの侵略戦争を歓迎してはいない。にもかかわらず制裁論に与しないのは、それらの国は、アメリカをはじめ西側諸国に対する積年の恨みや不信感がある。いわく、反欧米、反植民地主義の文脈である。

 たとえば、南アフリカは反アパルトヘイト運動をロシアが支持したので恩義を感じている。インドも冷戦中に、ロシアが支持してくれたことを忘れていない。

 これらの国に対して、アメリカが高飛車に仲間になれと迫るのは確実に反発を招くだけである。

 中国に対しては、はじめからアメリカは不信感むき出し、というよりも敵対的に、ロシア制裁に加わらなければ制裁するという脅迫で臨んだ。最悪である。

 プーチンの侵略戦争はけしからん。しかし、はっきり言えば、その大きな原因を作ったのは、アメリカの傲慢な一極支配論である。

 逆にいえば、ここに停戦、和平へのヒントがある。アメリカが従来おこなってきたことを顧みて、いささかの反省をするのが大事だ。ウクライナに武器支援をするだけで、アメリカ自身がロシアとの関係を一切反省しないならば、いつまでたっても、戦争は終わらない。停戦の鍵を握っているのは、アメリカだ。