論 考

米国の思惑にはまったプーチン

 権力を持たない人々の世論は、戦争反対である。

 ロシアのウクライナ軍事侵攻によって、ウクライナの人々は恐るべき悲惨な日常に放り込まれた。ロシア軍が活動した地域の人々の殺傷と破壊は、戦争が取り返しのつかない悪行だという事実を示した。

 停戦の兆しが出て、多くの人々が期待を持っている。バイデン氏は依然として挑発的発言を止めない。こんどは、プーチンが裸の王様で孤立しているという。米国が、停戦から解決への手立てをまったく提起しない。

 おおかたの人々は諸悪の根源が、プーチンのロシアだという枠組みで考えている。米国が直接軍事力を発動しなかったのは、さらなる戦争拡大を踏みとどまったといえるが、実は、ウクライナが「代理戦争」をおこなっているという見方を捨てきれない。

 米国は2004年ごろからウクライナの内政に介入してきた。

 戦争が長期化すれば、ウクライナもロシアも疲弊する。米国は第二次世界大戦後、ロシアを弱体化させようという戦略をとってきたから、勝利の美酒を味わえるというわけである。

 米国が、停戦から和平、再建(これは当事国だけではなく、世界の平和・経済秩序も含めて)への道筋で、誠意ある態度を示すかどうか。バイデン氏は、この戦争が米国の戦争であるという疑惑に答える必要がある。