論 考

王毅記者会見のポイント

 例によって日本の報道は、王毅外相の発言の扱いが粗雑である。

 昨日記者会見で王毅氏は、ウクライナ問題について最初に、国連憲章の趣旨と原則を堅持、各国の主権と領土保全を尊重・保障しなければならないと指摘した。

 これは、ロシアのおこなっている戦争が、道を踏み外していると語っている。また、紛争解決には対話・協議の平和的方法を掲げる。

 ロシアの戦争に、スカッと抗議しないのが気に入らない、わがメディアは、結局なにもしないではないかというトーンである。

 しかし、すでにロシアの孤立は大勢である。中国に完全に見放されたと考えてプーチン氏が、自暴自棄の戦争拡大に突っ込まない保証はない。

 王毅氏発言を、プーチン氏が応援歌であるなどと勘違いするわけはない。

 ウクライナ問題を使って、中ロを一緒くたにし、中国をロシア側へ追い込むべきではない。

 王毅氏は、「必要なときに、国際社会とともに、必要な仲裁をする用意がある」と語った。ロシアとともにではなく、国際社会とともに、である。

 リアルな中国は、ロシアと心中するようなつもりはないだろう。