論 考

プーチン氏の恐怖

 ロシアの人々は、「この戦争は、自分たちの戦争ではない」と語る。厳しい言論弾圧でも、できる範囲で意思表示している。

 軍事力という非人間的な塊に対して、徒手空拳の人は物理的にはひ弱である。プーチン氏は人々の共感を得る工夫をするのではなく、人々の心を潰そうとする。これが成功しないのは自明の理だ。

 プーチン氏の大国意識的妄想による偏執的行動は、ウクライナに向けられているが、ロシア国内の民主主義支持する人々にも向けられている。

 2019年ごろから、プーチン氏は西側の民主的政治は失速したと判断している。逆にいえば、そうあってほしいのである。EUやNATOとの関係を語っているが、実は、ロシア国内での民主主義の浸透に恐怖感を抱いている。

 ウクライナの人々に向けて、クーデターを呼びかけたのが、その証明だ。ウクライナを支持する陣営は、ゼレンスキー政府をいかに支えるか。これからが本当の言論戦だ。