論 考

ウクライナ危機

 23日、プーチン氏は、「ロシアの国益と安全保障に交渉の余地はない」と語った。欧米とウクライナ政府のしっかりした合意がない事態で、まさに押せ押せ、意気軒高である。

 ミンスク合意を足場に交渉を展開しようと、マクロン・ショルツ氏が動き、その仲介が奏功したかに見えたが、欧米・ウクライナの足並みが揃っていないと見て、プーチン氏がさらに一歩踏み出した。ミンスク合意は吹っ飛んだ。

 ロシア国民も、欧米の新たな制裁と軍事的緊張の高まりを懸念している。今回の騒動で、プーチン氏の支持率が上がるかどうかは疑問だという見方もある。

 ロシアが、もし本格的侵攻を開始すればウクライナは大混乱に陥る。すでにウクライナ経済は深刻である。

 米国民は、ウクライナ問題への関与について消極的である。米国が、本気でウクライナ問題に取り組む意思があるかどうかも疑わしい。

 この段階で理性的に対処するには、ウクライナのナショナリストによる軍事組織が暴発しないように、欧州のフランス・ドイツとウクライナ政府が態勢を立て直し、対ロ交渉の舞台を再構築するのが最善だ。

 軍事力と経済制裁が導くのは戦争でしかない。