論 考

匿名は、本名以上に責任がある

 5月に、米国コロニアル・パイプラインがサイバー攻撃で、東海岸では石油供給が数日にわたって停止した。

 米国は、犯行に関する情報提供に1000万ドルの報奨金を提供して、犯人グループを特定するという。

 これは、犯罪者がハイテクを駆使する典型的な事例だ。

 大阪では、通天閣のネオンサインに、「治験中、射ったらいかん」と表示されている偽画像がSNSに流出してひと騒動起こった。

 こちらは面白半分、お騒がせを愉しむ狙いだろう。本人は、暇つぶし気分かもしれないが、心がけが悪い。

 コミュニケーションが成立したから社会が生まれ、秩序が維持されている。コミュニケーションを破壊する行為は、利益目的の犯罪者よりも悪質である。なにしろ社会秩序を破壊するからである。

 この程度の理屈もわからない連中が、軽い気持で、社会秩序を混乱させる。

 匿名でなければ、社会の問題を指摘できない場合は少なくない。一方、匿名だから悪質な悪さをする。

 わたしは、法律で厳しく取り締まるのは、原則反対だ。誰もが、垂れ流される情報について、慎重に対処する習慣を育てねばならない。それが、社会的動物として担わねばならない基本だと思う。

 匿名で発信することは、本名で発信する以上に責任があるともいえる。