論 考

読売が心配する総選挙

 今朝の社説はいずれも自民党役員人事に対する内容である。

 朝日は、「これが『再生』の姿か」、読売は、「岸田カラーは発揮できるか」、毎日は、「改革に逆行する党人事だ」と題した。

 とくに甘利氏の幹事長就任について、朝日・毎日は当然ながらUR(都市再生機構)の口利き疑惑と業者献金の次第が、甘利氏本人の口からきちんと説明されていないことを批判する。読売は、名前は上げていないが、「政治とカネ」という表現で人事に?を付けた。

 岸田氏がいう、危機とは自民党の危機である。その核心は、菅氏では選挙が戦えないという危機感が党内に充満したのである。

 だから外で、安倍菅継承内閣とか、安倍オンブ抱っこ政権といわれても、まずは自民党内が「一致団結ガンバロー」となれば、党役員人事は成功である。

 ところで党役員には、岸田派は誰も入らず、当然ながら派内はブーイングである。昔の派閥が激突して総裁獲得争いをした当時は、派閥が戦って勝利したから、党役員の重要ポストは総裁派閥が握ったものだ。

 しかし、今回は岸田派が実力でもぎ取ったのではないから、他派閥に配慮せねばならない。そこで読売は、岸田カラーが発揮できるのか、心配してくれる。

 見るところ、9月4日に岸田政権が誕生して、予想される11月の総選挙が、まさに最大の関門である。自民党が無難に選挙を乗り切れば、やがて岸田カラーなるものの出番がくる。読売は、言外に「総選挙が心配だ」というのである。