論 考

若者の共感が得られるか

 タリバンが復活し、米軍が去ったが、アフガニスタンのこれからは暗中模索だ。アフガニスタンは荒れている。経済危機・干ばつ・コロナに直ちに対処せねばならない。

 もう1つ、タリバンがISを抑える能力を持っているかどうか。ISホラサン州の戦闘員は2,000人程度だが、大方は、タリバンが生ぬるいとしてタリバンを脱退してISに走ったメンバーだという情報もある。

 第一に、人々の生活を落ち着かせなくてはならない。これに鉄砲は役立たないし、人々が鉄砲を恐怖するままであれば逆効果である。

 アフガニスタン国民の2/3は25歳以下だという。彼らはタリバンが2001年まで支配していた当時の生活を知らない。シャリア(イスラム法)の厳格な適用など、聞くだけでおぞましいだけで、自分たちの生活規範に適用されるなど、到底許容できないだろう。

 タリバンは以前とは違った社会全体を包摂する政権になるとするが、目下は内容がわからない。国作りには、諸外国からの支援が必要になる。そのためには、中国が主張しているように、「永続的平和の実現に向けて基礎を固める」ことでなければならない。

 当然ながら、周辺諸国はアフガニスタンからの難民受け入れに積極的ではない。アフガニスタンの人々が、ここで、自分たちの国を作ろうと考えられるようになるのが最高の針路である。(もちろん、第三者の気楽な考え方だと批判されるのは承知の上で言うのだが、突き詰めればそれしかない)

 いままでは、いわば部族があって、国がなかった。日本でいえば明治になる前の藩が国だった時代に似ている。タリバンがイスラム法で押さえつけるのではなく、人々の国意識を引き出す方針を明確にするか?

 もともと原理原則にこだわるのがタリバンだと思うが、戦闘体質から建設方針への理念・戦略的転換が果たせるか?

 ぜひ、(彼らとしては)思い切った大転換を打ち出してもらいたい。勝負は、若い世代の共感だ。それが動き始めれば、アフガニスタンの奇跡が起こっても不思議ではない。期待する。