論 考

こんな政府にバカにされるのはごめんだ

 読売が本日、「緊急事態拡大 緩みは五輪のせいではない」と題する社説を掲げた。いわく、――度重なる緊急事態宣言による自粛の緩みやワクチン接種の遅れに加え、感染しても重症化しないと安易に考える若者が増加している。

 もちろん、五輪は五輪、自粛は自粛だ。五輪関係者が直接的に感染をばらまいているかどうかは別である。ただし、五輪関係者が30日時点で感染者225人出ているという事実はある。組織委員会は詳細を発表しない。

 選手たちが一所懸命競技することに八つ当たりするのはよくないが、そもそも、コロナ拡大に対する人々の危機感が薄いと批判するのは行政の責任転嫁でしかない。

 小池氏は、「五輪をステイホームで見るから人流が減っている」と語る。ならば、なぜ感染が大きく拡大するのか。矛盾だらけの発言だ。

 行政が、緊急事態宣言を発すれば、ただちに効果が出ると考えること自体が危機感の薄さを物語る。自粛しないから感染するんだと決めつけられるか。すべての生活・経済活動を止めることはできない。

 行政などが五輪は何がなんでも必要だと考えるように、人々それぞれも自分に必要な行動をする。五輪が別格なわけはない。これでは、感染するのは本人が悪いというのと同じだ。それなら、政治の存在意義はない。

 人々が――五輪は絶対やらねばならない。自分は絶対自粛するんだ(自粛しても絶対感染しない保証はないが)という2つの決意が高まるような行政の説得がない。昨日の菅氏記者会見でも、人々が「その気」になるような説得力はない。まるでロボットが喋っているみたいである。

 朝日読者欄には、「こんな政府にバカにされるのはごめんだ」(女性59歳)の投稿が掲載された。これが、ただいまの人々の気持ちであろう。