論 考

新常態?

 「新常態ってどういう意味ですか?」

 「緊急事態宣言が何度でも発せられる状態です」

 「それでは緊急事態宣言のマンネリズムじゃないですか」

 「1941年12月8日の真珠湾攻撃で太平洋戦争が始まりました。始まったときは、えらいこっちゃという気風で、極めて非日常的雰囲気が社会を支配しましたが、2年もしないうちに、社会の雰囲気はバラバラ、いわば虚無的雰囲気が漂うようになりました」

 「戦争という大異変でも、日常化するということですか?」

 「そうです」

 「なるほど、器が変わっても、中身の酒は以前のままというわけですね」

 政府与党御用達の読売新聞、本日の社説は「緊急事態宣言 『第4波』収束へ具体策を示せ」である。ちゃんと収束のシナリオを書けと主張する。しかし、論説子自身が、政府与党にそのような知恵者がいるとは思っていないだろう。

 大阪府知事の吉村氏は、機に応じて敏に動くポーズで、状況に振り回されていることを演技でなんとかしようとする。菅氏は、締め切りがとっくに過ぎたのにシナリオの方針すら決められない脚本家という次第である。

 2人に限らない、国民のために働くと公言する為政者諸氏が、いかに無力の芝居一座を構成しているか、コロナがあぶり出した事実を踏まえて、今後、人々がどのように対応するか。そこから、新常態が開始するだろうか!