論 考

エエカッコシイ

 わかっているポーズをとるのは、見栄っ張りである人間の悪しき性癖だ。

 大阪言葉では、エエカッコシイという。自分をよく見てもらうために人前で言葉や行動に恰好をつける。大阪府知事の吉村氏がその見本に見える。

 昨年3月19日に、突然「明日からの3連休は、大阪と兵庫の間で不要不急の往来を控えてほしい」と発言し、事前の相談もなかった兵庫県側はカンカン。同30日に「国は緊急事態宣言を出すべきだ」とぶって、大向こうの喝采をうけたのが味をしめたらしい。

 その後も、他に先駆けて行動制限と解除発言を繰り返したが、ここへきて、感染者が1日1,000人超となった。重傷者向け病床はほぼ満員だ。へぼ経営者がたびたびキャンペーンを繰り出すのと同じ手口、戦争でいえば、突撃と退却を頻繁に命令する指揮官で、手勢として動員される立場はたまらない。

 なるほど、メリハリの利いた指揮を執るのは手勢を率いる大事な技術ではあるが、大問題は「何も展望がない」ことである。

 いまや、粗略指揮が祟って「エエカゲンニシイ」という声が高まってきた。もちろん、これは吉村氏だけではない。コロナ対策は、所詮、自粛お願いをいかに巧みに表現するかでしかなく、対策の「質」は何一つ向上したらしきものがない。「政治家が本当に必要なのか!」という声もありますよ。