論 考

日中外相電話会談

 5日18時から1時間の、茂木俊充外相と王毅外交部長の電話会談の内容を外務省の発表で見ると、極めて淡々とこなしたようであるが、中国人民網が公表した内容とはだいぶ印象が異なる。

 外交官は、自国利益や本音をオブラートに包んで表現するのが一般的常識であるから、それだけに、相手の真意を見抜かねばならない。

 王毅氏は、「日本が独立自主国家として、中国に偏見を抱くいくつかの国に扇動されてそれに追従するのではなく、中国の発展を客観的理性的に受け止めることを望む」と語った。

 もちろん、外務省は「言われるまでもない」という立場であろうが、外務省レポートには、このような内容は全く書かれていない。

 中国は、日本が独立自主国家であると認めているであろうか。そうは思っていないというのが、わたしの認識である。

 国内の議会で、なまくら答弁ばかりで乗り切っているが、外交はそうはいかない。言葉で調整できるほど甘くない。王毅氏は極めて率直に、日本をどう見ているか語ったというのが、わたしの見立てである。