論 考

外交の自主性を考えたい

 3月27日、中国とイランが25年間の包括的戦略協定を締結した。イランは昨年6月には同協定について閣議決定していたが、中国が慎重に構えていた。中国が協定署名応諾をイランに伝えたのは13日前後だったらしい。

 3月18日、米中高官協議で冒頭激しい応酬があったが、中国はすでに米国の態度を読んでいたことになる。

 イラン自身も、米中いずれかのブロックに固定的にはまることには慎重だったが、当面、イラン核協議に対する米国の態度の変化がないと見切りをつけたことになるし、米国もまた、中国・イラン協定によって、新たな態度変更の動きをしないことになるだろう。

 米国と中国の関係がいまのままで固定化すると、世界は米中2大ブロックへ進む。ブロックの頂点に立つ強大国に従属する各国は、単純にいえば、外交の自主性を失う傾向になる。

 しかも軍事同盟が軸である。これは、安全と平和を志向する立場とは逆行する。日本は、日米(軍事)同盟で長く思考停止してきたが、独立国とはいかなる存在なのか、1人ひとりが真剣に考えねばならない。