政治再建をめざす、バイデン氏の記者会見で最大のネックになったのは、中米やメキシコから国境へ押し寄せている数万人の人々の扱いをどうするのかという問題である。同伴者のいない未成年者が数千人いるらしい。
2月時点で、未成年が1.4万人拘束されている。待遇が悪い、虐待だという批判も出ている。
移民が押し寄せたのは、バイデン氏が、国境の壁の建設を中止し、不法移民の強制送還措置を100日間凍結するとしたので、人々の期待が大きく膨らんだからである。
この問題について、バイデン氏の答弁は明快さを欠いている。民主党のなかでは政権の危機だという声も上がっている。移民問題は確かに危機をはらんでいる。ドイツのメルケル政権が大きくぐらついたのも移民問題だった。
「すべての政治的行動は、道義と権力の整合性の上に基礎を置かねばならない」という理論が問われている。政権の危機にせず乗り切られるか。