論 考

報道官辞任の意義

 官僚(官吏)は、本来、政治の舵取りによって動く行政システムである。

 明治時代から官僚は行政=権力として動くから、なにかと羽振りがよかった。しかし、首根っこを押さえているのは、つねに政府(内閣)であることは変わらない。だから、菅氏が官僚人事に辣腕揮うのは格別のことではない。

 政府が権力志向であれば官僚も権力志向となる。権力志向政治においては、政治的腐敗が発生しやすいが、政府・官僚システム上げて腐敗の隠蔽に精を出す。これが安倍・菅コンビの長期政権下で拡大したのは、衆知の通りである。

 一方、与野党問わず政党がしっかりと力をもっていれば、腐敗の暴露が進む。その意味では、非力といわれ続けている野党が、政府・官僚の腐敗を暴露するのは、極めて大事である。

 政府・官僚の腐敗の暴露事態に目的があるのではない。権力の腐敗を糺すことによって、政治を民主的に育てることに通ずるからである。