論 考

隠すのが怪しい

 首相広報官の山田女史が7万円超の接待をうけたというのが大きく扱われている。ステーキと海鮮であったという。高級ステーキの鉄板焼きだとワインも飲むし、まあ、金額自体は不思議ではない。

 庶民感覚と離れているという愚痴っぽい批判もあるが、なにしろ、女史は高級官僚であるから、接待する側も弾むだろう。

 27歳で、わたしは組合支部の委員長になった。当時の委員長はだいたい40代後半から50代だから、当方は若い。人事部が、労使顔合わせに一献差し上げたいと申し入れてきた。「本社の重役が来所したとき使う接待寮にしてくれますか?」、「いいでしょう」。当時は、組合役員が人事部に接待されると御用組合と言われた。

 労使顔合わせの前日の職場委員会で発言した。「明後日は執行部6人全員休むかもしれません」。職場委員が「なんでや?」

 「人事部が顔合わせで飲もうというので、明日飲みに行きます。そこらの店ではつまらないので接待寮にしてもらいました」。「おおー」

 接待寮は立派なもので、そこらの料亭とは格が違う。「接待寮のコストも皆さんの仕事の成果だから、ぶっ倒れるまで飲む決意で行きます」

 職場委員会は大笑いで、「しっかりやってこい」という声援と拍手までいただいた。以来、わたしは、人事部の若手を連れて、組合員が出入りする立ち飲み屋で、労使関係について語ったりした。

 山田女史は菅氏長男が同席していたことを問われて、「私自身、どういう方のご子息かは、お付き合いに関係ないと思っている」と答弁した。気位の高さは買うけれども、もっと、堂々と会談内容を公開してもらいたい。隠すのは後ろ暗いことがあるからだろう。