論 考

政府と東京都の見解を

 中国新聞によると、島根県知事の丸山氏が17日に聖火リレー中止の可能性について発言した会見後、19日までに、県民から700通のメール・電話などがあり、多数は知事発言に好意的だという。また、鳥取・広島県知事も丸山発言に共感的発言をしている。

 丸山発言の最大のポイントは、政府・東京都の感染症政策に対する疑問と批判である。たとえば、東京都が濃厚接触者の追跡に本腰を入れていないことを指摘する。もう一つは、事業者に対する国の支援が大都市部に集中していることだ。感染者を抑える努力をしているから島根県は感染者が少ない。当然ながら飲食店など事業者は営業不振で困っている。

 組織委員会は会長交代で出直しだ。男女差別は基本的大問題であるが、理事会の女性比率を増やすことと、東京大会が無事に開催できることとはまったく無関係である。

 開催そのものは、組織委員会の裁量ではない。やはり、政府と東京都がいかなる見識をもっているかが問われている。丸山発言が唐突であることはその通りだが、なんとしても五輪を開催するという構えと、現実の事情がまったく合致していない。

 森発言の後始末にばかりスポットが当たっているが、政府と東京都の動きが鈍いことこそが、丸山発言の背景である。政府・都は、丸山発言にきちんと答えねばならない。