論 考

制裁論は妥当でない

 軍は国家の暴力装置である。国家が暴力装置を恣意的に駆使する場合も少なくないし、軍自体が暴力的に国家を支配することもある。カポネは暴力でビジネスモデルを作り、ヒトラーは暴力で政治モデルを作った。

 権力が目の前にあると、それを使いたくなる。ミャンマー人口5000万人、国軍40万人、軍が経営する企業・農業もある。軍関係の力はかなり大きい。

 6年前に民主化したといっても、以降の足取りは厳しかった。いわば、いつ反動が起こっても不思議ではない事態が続いていた。

 民主主義大国アメリカでのトランプの4年間は、ミャンマーの軍関係者にとっては、きわめて勇気づけられたであろう。外からの制裁は極めて短期間であれば意味がなくはないが、長期化すれば、困窮するのは国民多数である。国勢が貧乏へ向かえば、暴力がさらに力を得るのは現実の歴史だ。

 各国の慎重な対応を期待する。