月刊ライフビジョン | LifeVisionSociety

カンパ2020は国連UNHCRに

ライフビジョン学会

 有限会社ライフビジョンは1986年創業、サラリーマンの仲間たちに人生設計セミナーを展開して、「いかに生きるべきか」を考える活動を続けてきました。代表の奥井禮喜が1980年に考案・発表した「人生設計(ライフデザイン)」は、個人の自我、アイデンティティを基礎に自分のこれまでを振り返り、これからの生き方働き方を考えようと、社会や世界の持続可能性まで広がるものでした。恒例の年末パーティでは沖縄から豚の丸焼きを取り寄せて、会場には赤い羽根の募金箱も置いていました。寄付文化のないわが国民たちは、カンパと言えば赤い羽根の募金箱に小銭を入れる、のイメージでした。

 バブルのころには、会社の出張時のマイレージポイントは出張者個人のものとされていました。彼らはポイントをヴィトンのバッグやエルメスのスカーフ、ヴィンテージ・ウィスキーなどに取り換えてカンパ会場に持ち込み、カンパ金捻出に貢献してくれました。しかし不況になると一変、会社はそんな余禄までミリミリと召し上げました。

 1995年の阪神淡路大震災を機に、「学び」は「活動」に転じました。カンパを募って被災地に送ろう! 急遽、都心のホテルを会場に各人が金品を持ち寄って、それを互いに買い上げてカンパ金をねん出する「第一回チャリティオークションパーティ」を「発明」しました。会社や労働組合に参加を呼びかけると、航空券やホテル宿泊券、遊園地の入場券などが寄せられました。参加者はその供出品を競り上げて、市価より高く競り落とす人も登場しました。ここにゲームとしての寄付、カンパを遊ぶ、の文化が生まれたように思います。参加していた某労組は組合員を集めてサバイバルウォーク120kmを企画し、参加費を全額カンパ金にして、以降数年、恒例行事に育て上げました。

 この年を契機としてパーティは2019年まで休むことなく、いや一回だけ休んだことがありました。元号が変わる1998年は自粛と委縮が始まり、ひどい不況感に主催者の元気も低迷していました。

 こうしてカンパ集めパーティを何回か続けるうちに、イノチより大事なお金を面白がらせて掠め取る方法はないか、カンパそのものを遊びにできないかと「悪魔のささやき」が聞こえてきました。浮かんだのは古い映画で見たオークション。競りにかけられた盗品をシャーロックホームズが競り落とす場面、あれをやって見よう。付き合いのある皆さんに「有用品」の無償提供を呼びかけて、パーティ会場に参加する皆さんに高値で競り落としていただこう。しかし最初のころは悲惨でした。折からのリサイクルブームも手伝って、無償提供品の中には自分のごみは自分で捨てて、と言いたくなるものもありましたがこの仕掛けは上々で、ハラハラドキドキ、今ではカンパを盛り上げるゲームのひとつとなりました。

 2011年の東日本の大震災では、わが高年の仲間たちは労働組合「連合」が組織した泥出しボランティアに合流しました。ボランティア先で知り合った被災地・岩手県田老のMさんを東京に招いて勉強会を開き、共感の輪を広げてカンパを募り、除雪機購入費用を贈呈しようと決めました。しかし事務局は内心ハラハラ、実は除雪機がいくらかかるものかも知りませんでした。

 2013年12月14日、除雪機の購入資金集めを目標とした「チャリティオークション・パーティ」は会場に60人の応援者が現れて、430,100円のカンパ金をねん出していただきました。送金後ほどなくして岩手県田老から、夕闇の中で軽快に雪を吹き上げる除雪機の動画が送られてきた時には、胸が震えたものでした。

カンパ2020は三密回避で新スタイルに

 2020年12月、ライフビジョン学会の「恒例チャリティオークション・パーティ」は第25回を予定して準備を進めてきましたが、世界史に残るであろう新型コロナウィルスの蔓延により、「パーティによるカンパ金集め」はいったん休止の判断をいたしました。

 代わって皆様に、特定非営利活動法人・国連UNHCR協会への「現金によるカンパ」拠出のお願いをしたところ、43個人・団体名様から407,150 円をお預かりすることができました。ありがとうございました。2020年12月21日、以下の通り送金致しました。

 カンパを楽しむ知恵を探して25年。コロナの2020年はついにパーティ無しで、カンパ仲間との再会もなしで、現金でのカンパをお願いすることになりました。カンパ常連の皆さんにこの案内が届くや否や、赤い羽根募金時代の50円100円ではなく、千円、万円のカンパが届きました。

 一緒に歩いてくださった皆様に、心からの感謝を申し上げます。

2021年2月1日

ライフビジョン学会理事会一同