論 考

英EU貿易交渉まとまる

 イギリスのブレグジットに伴う、英EU貿易交渉が駆け込みで成立した。ただし、現時点では詳細不明だ。交渉結果の報告書は2000頁もあるらしい。

 ジョンソン氏は国内向けに大勝利的コメントを発したが、相変わらず扇動的政治家の面目躍如である。

 英国民投票から4年半、ようやくブレグジットが一段落するが、完全決着にはまだ時間が必要である。もめにもめた関税問題や、漁業交渉がまとまったことが決着に成功した大きな要因だ。

 フォンデアライアン委員長は、「交渉が決着するのは、普通は嬉しいものだが、満足したというよりも、ほっとしている」とコメントした。本音がにじんでいる。交渉というもの、いずれかが全面勝利というケースは少ない。

 わたしの少ない体験ではあるが、苦いものがあるけれども、ほっとする結果というのは、いわば交渉の醍醐味である。

 大きいところでは、EUの結束は乱れなかったし、イギリスもまた国内的に新たな大混乱を起こすことはないだろう。なによりも、イギリス自体、EUとのお付き合いなしではやれないことが痛感されたはずだ。