論 考

健康を心配する働き方?!

 電通違法残業事件について、検察が略式起訴をしたが、東京簡裁は「不相当」として、今後公判が開催されることになった。

 検察の捜査では、違法残業に関して管理職が強制的に働かせたり、出退社記録の改ざんを指示するような悪質性が確認できなかったそうだ。

 しかし、本来、残業は上司の業務命令でおこなうのがスジであるから、直接強制していなくても、そのような空気が支配していたのである。強制していないのに長時間労働が常態化するほうが、悪質な問題である。

 業務命令がない。労働者本人が勝手に! 無茶苦茶働いて、いや、あたかも「大丈夫はむしろ玉砕すべきも、瓦全するあたわず」で、自身が名誉かなんかのために砕け散った、という次第になる。

 これは、検察と裁判所の問題にあらず。

 日本全国の労働組合を結成している皆さん! 過労死や過労自殺という言葉が市民権を得ていることに、慣れてしまってはいけない。

 真っ当な働き方、労働時間について、働く人としての見解をきちんと掲げようではないか。基本は、週40時間労働なのだ。

 そもそもです、健康を心配しなくちゃならないような働き方をしている現実について、精神的痛痒を感じないというのは、いったいなんなんだろう?