論 考

分かれ道

 核兵器禁止条約締結について、核兵器保有国が参加しないのは効果がないという説がある。この理屈は至極もっともに聞こえるが、では、核兵器保有国が「自発的」に禁止条約を作ろうというのを待つのか?

 122か国・地域は、核兵器保有国の「世界観」に対して明確に意義申し立てをした。核兵器保有国がいかに核抑止力を喧伝しても、核抑止力論自体が、次々に核兵器保有国を増やしたのであるから、反論にはならない。

 G20で、19か国がパリ協定推進で結束し、分からず屋のトランプ国だけが孤立した。これについて、訳知りが、「アメリカ抜きでどこまでやれるか?!」とコメントしている。

 これまた、核兵器禁止条約締結懐疑論と同じ考え方である。アメリカが本気でやらないからといって、では、世界中がそれに歩調を合わせれば、もっと悪くなるではないか。

 現実論に基づくのは大切だが、「どこへ向かうべきか」をきちんと考えてないと、単なる現状追認になって、ますます人類を退行させるのであります。