論 考

危機か、団円か!

 1995年に米国で設立されたNGOの国際シンクタンク「国際危機グループ」(ICG International Crisis Watch 本部ブリュッセル)が、米国大統領選に向けて暴力のリスク管理が必要だと警鐘を鳴らしている。

 従来ICGが危機管理の対象としてきたのは、紛争のある国がほとんどで、民主主義先進国の、それも選挙について暴力のリスク管理を訴えるなど異例中の異例である。

 投票日を控えた米国は世論が二極化しており、インターネットを通じてフェイク情報が飛び交っている。自分と異なる主張に対して憎悪が高まっており、人種差別問題による摩擦もある。

 選挙戦が接戦になると予想されるが、トランプ氏は、結果に対して異議申し立てをする動きをしており、さらに選挙投票に対する監視軍団を呼びかけた。郵便投票の信頼性を理由なく貶めた。これらはトランプ氏が個人的利益を追求することに責任がある。

 諸外国は、選挙が終わっても、確定して制度上のプロセスが軌道に乗るまでは、当選者に対する祝電を打つべきではないとも主張する。これは、トランプ氏が勝手に勝利宣言することを予想したものである。

 バイデン氏は選挙演説で「混乱はもう終わりだ! ツイート、怒り、憎しみ、失敗、無責任はもう終わりだ」と語ったが、11月3日後直ちに大統領が決まる見通しはないみたいである。

 混乱を起こさない鍵は共和党人士にある。トランプ氏と心中するような無謀なことがないように期待する。