論 考

新検事総長への期待を支える国民

 新検事総長に林真琴氏が就任した。林氏は、2011年に検察不祥事のあと、「検察の理念」をまとめ上げた。

 今回は、安倍政権が検察の独立性に介入した問題だから、その点に限れば検察は不祥事に巻き込まれたのであるが、林氏が再び不祥事から検察を立て直す巡り合わせだ。

 検事総長は検察組織の最高責任者として、組織のタガが緩まぬように、検察官の士気が高まるように指導力を発揮することが期待される。

 「検察の理念」は明晰・判明にまとめられている。検察官は――① 国民のための奉仕者である、② 基本的人権の保障を担う、③ 真相究明に邁進する――のであって、その矜持は、「公正・誠実・熱意・謙虚」たれという。

 これは検察官に限らず、すべての政治家・官僚が心するべき内容である。

 くどいようだが、この精神を破壊してきたのは誰か。国民の1人として、お互いに忘れないことが大事だ。公務員は国民全体の奉仕者であるが、国民がただ奉仕されることだけを期待していても、そうはいかない。