論 考

異常な大統領を生んだ土壌

 大統領補佐官を辞めたジョン・ボルトン氏の回顧録が刊行される。題名(仮称)――The Room Where It Happened:A White House Memory――。

 メモリー部分がなければ、ちょいとロマンスかミステリーかという趣で、編集者はなかなか趣味豊かな人? らしい。

 習近平氏に、トランプ氏が再選できるように要請したという話には、たぶん世間は驚かないだろうが、トランプ離れに貢献するだろう。テレビ出演でボルトン氏は「トランプ氏は大統領職にふさわしくない」と断言した。

 さっそくトランプ氏はボルトン氏を「病んだ子犬」と反撃、ポンペオ氏はボルトン氏を「売国奴」と罵倒。トランプ氏は出版差し止めに躍起になっている。

 トランプ氏が再選されなくても、この間のハチャメチャ政治を軌道に戻すのは簡単ではない。客観的には、十分過ぎるほど乱暴な指揮を執ったが、それを許容した原因は第一に共和党の定見のなさ、支持者が自分の得になればよろしいとする功利主義的自己中心主義、さらに極右的差別主義の3点セットだ。

 突き詰めていけば、結局、市民1人ひとりの見識が問われる。よそ事ではない。デモクラットたることは個人の偉大な事業である。