論 考

加西市のコロナ基金は筋違い

 兵庫県の加西市が、市職員が受け取る支援金10万円を当て込んで、コロナ基金を設立した。市議会は全会一致だったそうだが、共産党は市職員の懐を予定しているとは知らず! 基金に賛成した不明を悔やんでいるらしい。

 それはともかく、震災にせよ今回のコロナにせよ、困っている人や経済再建対策を錦旗として掲げられると、横並び意識の強い日本的風土においては、きっぱりと拒否するのは難しい。

 しかし、市職員は日々の仕事をもって公僕たるわけであり、個人の懐具合や生活は一般の市民の場合となんら変わらない。

 憲法第29条には「財産権は、これを侵してはならない」と明記されている。組合は個人意志での寄付であると解釈しているが、寄付する意志がないことを以て、上下左右のいやらしい圧迫が一切ないなどとは考えられない。自粛=マスクと同じだ。

 もっともいやらしいのは、個人意志であると建前論をぶって、暗黙裡に個人の寄付する意志を迫っていることだ。これ、本質的には強迫であり、権力乱用と等しい。この種の問題は情緒に左右されてはいけない。