論 考

経営のコロナ対策

 報道によると、アメリカの業界団体が、このままでは失業者が最大で930万人から1,130万人になるとして、政府に支援を要請している。うちわけは小売業170万人、飲食業300~500万人、旅行業460万人である。

 一方アマゾンや、ドラッグストアのCVS、ウォルマートなどはそれぞれ5万人の新規雇用をするが、全体に、すでに労使は緊張関係にある。

 昨年、8月19日に経営者のロビー団体Business Roundtable(BR 円卓会議)が、「企業の目的に関する」声明を発表した。最大の特徴は、従来株主資本主義でやってきたが、これからはステークホルダー資本主義でいく。すべてのステークホルダーに対して公平公正な対処をするという。

 ここでいうステークホルダーは、顧客・従業員・サプライヤー・地域社会・株主である。儲ければいいという思想を克服しようとする。

 とくに、従業員については、平等に保障し、新たな技術習得のための手助けとなる訓練・教育をおこなって支援する。ダイバーシティと包括、尊厳と尊敬を育むとしている。

 BRは1972年に結成され、強力なロビー活動を展開している。加盟CEOは181名、そうそうたる大企業であるが、今回のコロナによる苦境に対してどのように対応するか注目である。

 加盟CEOの1人であるアメックスのスクエリ氏は、2008年の金融危機に際して利益を22億ドル上げたが、18億ドルにして、雇用を守っていれば、事後の企業活動がもっと円滑であっただろうとコメントしている。

 1964年東京五輪後、電機メーカーは不況に直面して、営業なども一時帰休を出した。松下電器は帰休せず、儲けを度外視して、営業マンは系列店を徹底的に回った。これが大きな効果を発揮して、しばらく話題になったものだ。

 日米の経営者が根性を据えて全社一丸の気風・体制を構築できるかどうか。これも大きなコロナ対策である。